厚生労働省の調査によると、2012年時点で全国の認知症高齢者数は約305万人でした。また、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年には、全高齢者人口の12.8%が高齢者ということになるので、今後さらに認知症を患う方が急増していくことが予測されます。そのため、認知症高齢者を対象にしたグループホームや認知症対応型通所介護サービスが全国的に増えていますが、介護職員の人材確保などが追いついていない状況です。介護職の主な仕事は、利用者の身の回りの世話や身体介助などですが、認知症介護の場合は特に、一人一人のニーズに合った適切なサービスを提供する必要があるため、なかなか人材の需要と供給のバランスが取れていないようです。
ちなみに、介護の仕事は人の役に立てるやりがいのある仕事でが、8割以上の職員は、施設を利用する高齢者から暴言や暴力を受けているという調査結果があります。暴言を吐いたり、暴力を振るったりした高齢者の多くは認知症の症状が見られる方だったようですが、被害を受けた介護士にとっては、身の危険を感じるような出来事だったでしょう。要介護者のために良かれと思ってしたことで、突然暴言を浴びせられたり、暴力を振るわれたりしては、モチベーションにも大きく影響してしまいます。
そのため、介護士の人材不足を解消しようとするのであれば、今後は介護職が安心して仕事に従事できるような環境を整備することが重要でしょう。そうすれば、いくらか介護職の人材不足は改装されるのではないでしょうか。